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研究所の一般公開 [南極]

来る8月4日,僕が勤務する国立極地研究所の一般公開が大開催されます!

flyer-omote.jpg
http://www.nipr.ac.jp/tanken2012/index.html

毎年2000人を超える方々が来所されていますが,
今年は特に新しい企画目白押しですので是非ご来所下さい!

(個人的)目玉は,昨年度行った僕らの南極内陸調査の特別企画

「体験!南極内陸山地調査隊の1日」です.

調査に使った調査道具やキャンプ道具だけでなく,ソリやスノーモービルも展示します.
実際使ったテントに入って,寝袋に触る(入る)こともできます(ムチャ暑いですが)

また,展示だけで無く,ロープワークの体験や,僕の調査報告講演

「究極のフィールドワーク:南極内陸山地調査隊の100日」 も併せて行います.

沢山の方のご来所をお待ちしております!

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石の魚 [南極]

今年の南極調査で発見した新種の魚の化石です!

石の魚.jpg


というのは,もちろん嘘.
こういう形の岩石をたまたま発見したので,一緒に居たK隊員に撮って貰ったものです.
(岩石としては,ペグマタイトに取り込まれたヘンマ岩?)
極寒・強風の中での18時間行動.かなりシンドイ一日の一コマでした.

ちょっとした南極の思い出.

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帰国報告(かなり遅くなりました) [南極]

もう2ヶ月も前になりますが.無事に南極調査より帰国しました.

ご報告が遅れましてすみません...
帰国後は怒濤の日々が続いていましたが,GWに入って久しぶりにゆっくりしています.

また追々時間を見つけて南極の話をしたいと思いますが,
今日は下の写真をご紹介.

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これは「あすか基地」という現在休止中の南極基地で撮った集合写真です.
この五人で約100日間の調査を行ったんですが,
ここでご紹介したいのは,写真の真ん中にあるのは「方位標」です.

この「方位標」,本来は「あすか基地」からの各都市の方位・距離が示されてたんですが,
今はほぼ完全に雪に埋まってしまっていました.
今回は,みんなで頑張って基地の名前が見えるまで掘り出して,写真撮影してきました.
(と本当の目的のGPS測量もしました)

この「方位標」,本当の高さは実は10 m以上あったらしいのですが,
「あすか基地」が閉鎖されて約20年の間にここまで埋まってしまいました.
つまり,「あすか基地」本体は今の雪面から10 m以上も下に埋まってる訳です....

いつか,「あすか基地」を再開したり,撤収するにはこれを掘り返さないとなんですが,
これは大変だ.

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南極調査に行ってきます! [南極]

いよいよ今夜23:30のフライトで南極に出発します.

南極ではインターネット環境がないのでなかなか難しいですが,
チャンスをみて情報をアップしていきたいと思います.

では行ってきます!

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ケープタウン到着 [南極]

無事に日本を出国し,南極フライトの起点,南アフリカのケープタウンに到着しました.
それにしてもシンガポール経由の計30時間の移動はしんどかった..

そして昨日までに,到着物資の確認と南極フライト用の仕分けも無事に終了しました.
僕らの調査に協力してくれるベルギー隊のメンバーとの打合せもオーケーでした.
ちなみに,写真真ん中の男性は,世界的に有名な冒険家のAlain Hubertさんです.
歩いて南極大陸を横断したり,毎年のように北極点まで行っている凄い人です.

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いよいよ南極へのフライトは明日!
先ほどフライトに関する打合せと預け荷物の提出も終わりました.
明日飛ぶ予定のメンバーは,ベルギー隊,イギリス隊,ノルウェー隊,そして我々日本隊の総勢70人で,旧ソビエトの爆撃機を改造したイリューシン76という航空機に乗って南極を目指します.

今夜は南極前最後の夜.ウォーターフロントで美味しいモノを食べたいと思います.

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南極野外調査の紹介2 [南極]

長くなってしまった僕らの南極調査紹介ですが,いよいよ最後です.
と言っても今日はほぼスライドショーです.出発直前で余裕が無い..

まずは僕らの調査スタイルの紹介.
南極調査は寒い...ホントに寒いです.そして,何より風が強い.
なので,基本的に肌の露出を避けるためにこんな感じのスタイルになります.
後になると,写真を撮った僕でも誰だかわかりません(笑).

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スノーモービルで山の麓まで辿り着いた後は,ひたすら山を登ります.
兎に角少しでも標高が高いところにある氷河の痕跡を探すわけです.

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日当たりの良い斜面を登っていくと,露岩域が広がっています.
もう何百万年も寒冷な南極の地で吹きっさらしになっているので,大抵はガレ場です.
下りなどは不安定な足場が続くので,慎重に進みます.

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そして,前回調査の最高標高地点(約2500m)まで登り詰めました.
この時点で既に夕方5時ぐらいですが,白夜なので明るい!
もちろん体はクタクタでしたが,この絶景を見て救われた気分です.感動!

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このツルっとした岩盤は,数百万年前に氷河がここを通過して,研磨した痕跡です.
こういった箇所を調査・試料採取することで,過去の南極氷床の形の復元を進めています.

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南極野外調査の紹介1 [南極]

さて,いよいよ南極野外調査の紹介にたどり着きました.
イントロが長かったですが,実際に調査に行くまでの準備も長いのでご容赦,

改めて僕らの調査の特徴を列挙しますと,以下のような感じです.

・調査期間中(約100日間)は全てキャンプ,その間は風呂無し.
・ずっと氷点下(最低気温はー25℃ほど,最大風速は30m以上).
・食事はフリーズドライ(ほぼ宇宙食と同じ)を基本とし,ほぼ全てが乾燥食.
・スノーモービルで約3000 kmを走り,2000〜3000 mの山々に登る.
・基本的には電話もメールもテレビも無い(衛星通信環境あり).

これを見ての通り,なかなかハードな調査です.

そして,この調査の目的は「将来の南極・地球の環境変動を知ること」です.
もう少し詳しく書くと,ちょっと難しい表現かもしれませんが,
「大気中CO2濃度が高かった時代の南極氷床の形(体積)を地形学的な証拠から復元する.
そして,今後のCO2濃度上昇に伴う南極氷床変動の精密予測に寄与する」ことです.

まあ実際には,山々を歩いて氷河地形や氷河堆積物を探して,岩石をサンプリングするのが基本的な僕らの調査スタイルです.

と言う訳で,まずはスノーモービルで山の麓まで移動します.
積雪があるところは楽に移動できますが,青氷やサスツルギという雪面の場合は大変です.
でも天気が良ければこんなに素晴らしい景色が待っています.
光ってるところが青氷です.

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更に登っていくと,こんなダイナミックな景色が待っています.
青氷の上を走る横線みたいなものは,クレバスです.
ここのクレバスは最大幅50cm程度なので,スノーモービルが落ちることは無いですが,
歩く時は用心が必要です.

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さて,いよいよ山に取り付きます.
もちろん「登山道」は無いので,地形図と実際の景色から登山ルートを選びます.
山岳スペシャリスト隊員の腕の見せ所ですね.
ザイルを繋ぐほどの厳しいところは避けますが,それでも怖い箇所もあります.

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続きます.
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ベースキャンプへの移動 [南極]

いよいよ出発まで一週間を切りました.
このブログでの南極調査紹介も架橋です,出発までに全部終わるか..
今日は,飛行機で南極に入ったあと,ベースキャンプに移動するまでを紹介します.

僕らの南極調査では,スノーモービルが基本的な移動手段です.
スノーモービルはBombardier製の300ccぐらいの比較的小さいヤツです.
取り回しや燃費なども考慮して,このサイズにしています.

さて,下の写真は逆光ですが,なかなかキレイに撮れたのでご紹介.
真っ新な雪原を走るスノーモービル(とドライバー)です.

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さて,ベースキャンプに移動する際は,このスノーモービルにソリを二つ連結します.
そして,ソリには食料・燃料・キャンプ道具など積み込みます.
各スノーモービルが運ぶ重量はソリも入れて250kgぐらいになります.
スノーモービルの性能を考えると,かなり無理をしていますね.

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さあ,荷物も積んだし,次のキャンプに移動します!
移動中は逃げ込むキャンプも無いので,本当に天候が安定している日を選びます.
途中で突然ブリザードなどが来たら,本当に危険ですからね.
ちなみにこの日は2009年12月24日.雪原の上,白夜のクリスマスイブでした.

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新しいベースキャンプ地に着きました.
早速ベーステントと個人テント立てます.
そして,荷物を運んできたソリをひっくり返して,ソーラーパネルを取り付けます.
白夜なので一日の太陽エネルギーはかなり多く,ソーラー発電はなかなか効率的です.

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ベースキャンプも出来ましたし,次は僕らの調査風景をご紹介したいと思います.

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いまさら調査地の紹介 [南極]

出発直前になって慌てて僕らの南極調査を紹介していますが,
まだ調査地が南極の何処にあるのか,行き先をご説明していませんでした.
と言うわけで,今日はまず僕らの調査地が何処にあるのか?のお話.

早速ですが,下が南極大陸を三次元的に表した図です.
南極氷床の形がわかりやすいように高さは誇張してあります.

南極三次元図.jpg

この図の下,海岸沿いにあるのが「昭和基地」です.
そして,南極氷床のほぼ頂上と言っていい高所にあるのが「ドームふじ基地」です.
標高は約3800 m,富士山より高い所にある基地で「南極料理人」の舞台になりました.

そして,昭和基地の右上,現在は閉鎖中の「あすか基地」の近くにあるのが,
僕らの調査地であるセール・ロンダーネ山地です.
この図では山は見えませんが,ここには南極氷床を突き抜けた山地があり,
夏には雪も溶けて南極大陸では珍しく岩が露出する「露岩域」になっています.
そう,こんな感じの景色です.

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ついでに下の図は,僕らの調査地を含む東南極ドローニング・モード・ランド(Dronning Maud Land)という地域を結ぶフライト経路をまとめたものです.
これは日本を含む十数カ国で運行する国際的な航空機ネットワークでして,ロシア基地のノボラザレフスカヤ基地を起点として,チャーター機で各地に飛び,調査・観測ができるシステムが作られています.
第一次南極観測隊が南極に向かった頃を考えると,凄い進歩ですね.

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http://www.alci.info/
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内陸山地(調査地)行きのフライト [南極]

先日は昭和基地へのフライトをご紹介しましたが,
今日は僕らの調査地である南極内陸部の山地*へのフライトを紹介します.
*名前はセール・ロンダーネ山地と言います.ノルウェー語なので不思議な響きですね.

まず,以前も紹介したように,南アフリカのケープタウンから南極のロシア基地(ノボレザレフスカヤ)まで,イリューシンという輸送用ジェット機で一気に飛びます.
「一晩飛ぶとソコは南極だった」という感じで,あっと言う間に南極に着きます.

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到着したら,大急ぎで物資を下ろします.
いきなりマイナス20℃以下&風速15 m,寒さに慣れぬ体にはかなり厳しいです.

写真は前回の調査の時なので,スノーモービルも入れて計7トンも物資がありました.
これを次は小さなプロペラ機に乗せて(下),調査地近くのベルギー基地まで飛びます.

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飛行機に物資を載せるとこんな感じです.
荷物の隙間に隊員も便乗していきます.

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もちろん,一回では運べないので,何回も往復します.
そのうちに天候が悪くなり,この時は結局荷物を全部運ぶのに一週間かかりました.
隊員の一部も最後までロシア基地に残ったので,やはり1週間会えませんでした.

フライト中,窓からはまさに「南極の絶景」を見ることが出来ます.
僕もこれまで世界の各地に行かせてもらいましたが(仕事で),他の場所とは比べものにならない圧倒的な景色でした.

やがて遠くに山地が見えてきます.

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眼下にクレバス帯が見えてきました.かなり大規模なヤツです.
上空からだと視認できますが,雪原を移動中だと分かりにくい場合もあって危険です.

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そして,ベルギー基地の滑走路が見えてきました.
滑走路と行っても,雪面をならしてあるだけです.小型機のみが発着可能ですね.
小屋などもなく,ただ燃料のドラム缶が置いてあるだけです.
帰りはパイロットが自分でドラム缶から給油して,帰ります.

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これは,次の飛行機が降りてくる時に撮った着陸(着雪?)の瞬間です.

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着陸後,早速に物資を下ろして,とりあえずベルギー基地まで移動します.
乗るのはスノーモービルに牽かれるソリの上.寒い..

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という訳で,ベルギー基地に到着しました.
船に比べればあっと言う間ですが,それでも遙々来たなあという感じです.

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ベルギー基地ですが.宇宙船のような先進的なデザインですね.
内部は基本的に木材で作られています.その方が丈夫だそうです.
5年ほど前に着工して,未だ内部は建設中のとても新しい基地です.

このベルギー基地は南極初のゼロエミッション基地を目指していて,
夏だけのオープンとは言え,その間は風力と太陽光発電で全ての電力を賄うそうです.

さすがヨーロッパの国の基地は,内装もおしゃれでした.
昭和基地も雰囲気ありますが,ちょっと違いますね.


次は,さらに基地を出発して調査地への移動について紹介したいと思います.







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